【Colum / 相続】判例動向「預貯金も遺産分割の対象」

2017-03-20

今回は、以前に投稿したコラムの続きです。
以前のコラムはこちら → 【Colum / 相続】判例動向 「預貯金は遺産分割の対象か」

昨年12月19日に最高裁で「預貯金も遺産分割の対象となる」と判断されました。
最高裁の裁判事例の概要は下記の通りです。

被相続人Xに対して相続人はAとBの2人。
Xの遺産は預貯金4,000万円。
Aは、5,500万円の生前贈与を受けていました。
つまりAには特別受益5,500万円があることになります。
Aは、「預貯金は遺産分割の対象外だから4,000万円の1/2の2,000万円を取得する権利がある」と主張しました。
つまり、Aは特別受益5,500万円と合わせて7,500万円の財産を取得することになります。
Bは、「預貯金も遺産分割の対象であり、特別受益5,500万円を加えた9,500万円の1/2である4,750万円を取得する権利がある」と主張しました。
最高裁は、「預貯金も遺産分割の対象となる」と判断、Bの主張を支持し、具体的な相続内容を改めて決めるため審理を高裁に差し戻しました。

判旨によると、下記の2点から預貯金は遺産分割の対象となる、という結論に至りました。
①「遺産分割の仕組みは共同相続人間の実質的公平を図ることを旨とするものであることから、遺産分割においては被相続人の財産をできる限り幅広く対象とすることが望ましい」
②「預貯金は預金者のおいても確実かつ簡易に換価することができるという点で、現金との差をそれほど意識させない財産であると受け止められている」

この判例によって、多額の生前贈与を受けた人とそうでない人の不公平が解消されることになりますが、実務上は様々な問題が起きそうです。

まずは金融機関の実務です。
金融機関は原則として各相続人からの任意の解約や名義変更請求には応じない、という姿勢をとっていますが、実際の対応は金融機関によって様々でした。
それが今回の判例変更により「遺産分割が終了するまでは預貯金の払い戻しに応じない」という原則が厳格化される可能性があります。

次に資金繰りの問題です。
相続後の生活費や葬儀代といった当面の資金の工面も問題ですが、相続税も大きな問題となります。
相続税の納税期限は相続開始後10ヶ月以内ですので、10ヶ月以内に遺産分割がまとまらない場合、法定相続分で相続税を納税しなければなりません。
したがって、単に相続税額の減額だけを対象とした相続対策ではなく、納税資金まで考慮した相続対策を講じる必要があります。

ワークマネジメンツでは、ファイナンシャル・プランナーによる相続対策相談を受け付けております。
お気軽にお問い合わせください。

画像

前の記事へ  |  次の記事へ